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ホントの唄(仮題)
第4章 僅か、重なりゆく情景

 助手席に真を乗せると、俺は街中を抜け山間の道へと車を走らせて行く。


「ねえ、オジサン。何処に行くの?」


 と、真は訊いた。全開の窓より吹き込む風に、その長い髪を靡かせている。


「心配しなくても、いいぞ。人目を気にするような場所じゃない」


 俺は何となく目的地をはぐらかし、殺風景な田舎道に更に車を進ませた。


「別に、心配なんて――あ、そうだ。どうせなら、今日はこのままドライブしない? 場所なんてどこでもいいからさ。とりあえずガソリンが尽きるまで、何処までも突っ走るの」


 都会暮らしであろう真は、喉かな景色に瞳を輝かせながら、そんなことを言う。


「バーカ。帰りはどうするんだよ」


「いいじゃん。後のことなんて、どうとでもなるわ」


 ホントにコイツって、行き当たりばったりな奴だな。俺は半ば呆れつつ、淡々とその提案を却下するのだ。


「生憎とお前の気まぐれに、付き合ってやるほど俺は豪気じゃない。現にこうして平日の昼間にブラブラしてるだけで、罪悪感に襲われてる。それに――用事があるって、言ったよな」


「ハイハイ、了解ですよ」


 真はシートにドッと身を委ねながら、詰まらなそうに顔をしかめる。

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