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ホントの唄(仮題)
第5章 景色は騒々しく
バー勤めをしているやや派手目な女は、俺を無職になったと知った途端、気持ちの良いくらいあっさりと見限ってくれている。調度、公園で真と出会った、その夜のことだ。
と、一応その様な、流れである訳だったが……。
俺は些か冷めた目をして、二人の様子を眺める。
「おっとぉ。これはまた、不味いところを……」
太田は俺の顔をチラリと見るや、バツが悪いとばかりにそう呟く。でも内心では、口ほどに「不味い」と思ってもなさそう。
一方で――
「ええ、うそぉー。お久しぶりだね。元気にしてたぁ?」
亜樹は俺の存在に驚きつつも、まるで悪びれた雰囲気は皆無。実に適当で軽い挨拶を向けた。そんなに久しくは、ねーから……。
「いや、つい最近のことなんですよ。何となく、こんな感じになりまして、ですねー。あははは」
何ら具体性のない言葉を連ねる太田は、俺と亜樹が付き合っていたことも知っている。会社の飲み会で時々亜樹の勤める店を利用していたから、双方にも元々面識はあるのだ。
聞いてもいない言い訳をグダグダと口にしながら、太田は自分にしなだれ甘える亜樹にデレデレと鼻の下を伸ばした。
「……」
俺は心の底から馬鹿らしく感じながら、死んだ目をして二人のことを見ている。