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ホントの唄(仮題)
第5章 景色は騒々しく
「……」
俺はポカンと口を半開きにして、言葉を失ってしまっている。が――
「はあ……?」
「な、なに……?」
驚きとしては太田や亜樹の方が、よっぽど大きかったようだ。
変身した今の真の姿は、ファッショナブルというよりも何処か禍々しく映り。強烈な自己主張の塊を体現するかの意図は、ある意味で『イタいヤツ』と紙一重にすら思えた。
しかしそれ故に尚更、その存在はあまりにも圧倒的である。登場した一瞬を以ってこの場を掌握すると、容赦ないまでの魅力をその周囲にまき散らしていた。
コイツ……余計なこと、しやがって。
俺はその想いを何となく察する。
どうやら真は、俺を助けているつもりで登場を果たしていた。店の中から目に止めると、慌て駆けつけて来ている。会話の一部を耳にしたものか、女の勘が働いたものかは知らないが、彼女なりに今の状況を正しく把握しているようだ。
それを受け俺がどんな気持ちが生じていたのか、それは一旦、置いておかせてもらう。
まず先に、その後の周囲の反応を見てみるとしようか。