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ホントの唄(仮題)
第6章 急かされて旅立つ
そして問題は、単に今いる部屋からほど近い隣町に於いて、真の存在が確認されている事実を超えいた。
どうやら真も、その点に気づいたらしい。
「オジサン……コレ、あの人たちが見たら……?」
それまでにない不安そうな顔を見せ、真は言った。
あの人たち――との、その言葉を耳にする前に、俺の方には既に嫌な予感に苛まれている。
そう――この画像から、現在の真の所在を確実に詳らかにできる奴らがいた。画像が撮影されているその場に俺たちと共にいて、真と同伴していたのが俺であることを認識している奴らが……。
殊に――
「太田のヤロウ……たぶん、もうコレを見てやがるな」
不安そうな真のことを顧みることなく、俺は思わず呟いてしまった。さっき電話で話した時の思わせ振りな言い方から、それをほぼ確信しているたでのある。
「――!?」
その時――急に怯えたようにして、真が俺に縋りついた。
コツ、コツ、コツ――。
そうした原因は、部屋の外から聴こえていた、何者かの足音によるもの――。