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ホントの唄(仮題)
第7章 二人だけの時間に
その後、車でなんとなく海岸線を北上しながら、途中で飯を食ったり、また真の目に止まる場所があれば言われるがままに立ち寄ったり。
そんなことを繰り返しながら次第に日が傾いて来ると、俺たちはその日の宿をとある岬の高台にあるリゾートホテルに決めた。随分と古くなった建物は白い壁がくすんでいて、とても高級なホテルとは言えそうもない。
そのフロントにて部屋を取ろうとする前に、俺はひっそりと真に訊ねた。
「部屋は二室? それとも――」
「あのさぁ……一週間も同じ部屋で暮らしといて、今更それ訊くかな?」
「いや……一応はな」
「同じ部屋で! お金だって、もったいないでしょ」
「まあ……そうだが」
真の言うことももっともだったが、やはり環境と状況が変化したことにより、俺の中に妙な意識が生じてしまうのも仕方がないものと思われ。
だが、結果として部屋を共にすることとなった、この夜。昨夜までの流れを踏まえた上で、それが何を意味するのか。
俺がこんな男であっても、それを惚けてやり過ごすことはできそうもないのだ。