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ホントの唄(仮題)
第7章 二人だけの時間に
一風呂をそれぞれ浴び終えた俺たちは、食事のためホテル2階のレストランへと向かった。この日の夕食はビュッフェスタイルらしい。
ちなみに濡れた服をホテルのランドリーサービスに出すと、入浴後の俺と真は浴衣姿である。もちろん着替えは持ってはいたが、従業員に『浴衣OK』であることを確認すると面倒なのでそのまま食事を済ませることにした。
当然ながら俺には、真の知名度を憂慮する必要があった。が、この日の宿泊客はどこぞの敬老会といった様相の御一行様とその他も年配のご夫妻が数組いるだけ。そんな感じの客層であれば、まああまり気にしなくても平気だろう。
と、俺が周囲を見回してそんなことに気を裂いている間にも、真の動きは俊敏である。
「オジサンも、早く取ってきなよ――お料理」
そう言って俺を促した、真の前に並んだ品々に俺は些か辟易した。
「うっ……お前、何でも持って来ればいいってもんじゃ……ねーから」
ローストビーフ、サーモンのマリネ、デミグラスソースのふわふわオムレツ、ポタージュスープ等々の比較的上品に取り分けられている料理は、まあいいとして。
それにドンとしたボリュームで続くチャーハン、カレー(ライス)、ミートソースのパスタ、果てはお椀一杯のソバにまでに至る怒涛の炭水化物コンボは、明らかに理解不能だ。