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ホントの唄(仮題)
第7章 二人だけの時間に
「さて、と」
真が寝るベッドの脇に腰を下ろし、俺の心情を掌るかのような右手を、何とも微妙な速度で真の頬へと伸ばす。
――ツ。と、静かに触れ。
「う、ん……」
それに反応した真が、小さくその身を捩った。
「……」
俺はまだ、迷っている。
王道の偉大なるワンパターンを貫くのならば、「なんだ、眠っちまいやがって」と苦笑でも浮かべて、それでも内心では少しホッとしながら隣りのベッドで眠ってしまえばいい筈――
で、あるのに――今夜は。
「真……」
「ん……?」
俺のもう一度触れた指先に、真の微かな意識が揺れた。
その所在するかもわからぬ意識に向けて、俺は思わず呟いて語っている。
「俺……真を……抱きたいって思うんだ」