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ホントの唄(仮題)
第8章 誠実な(?)、情事
「……」
真も黙り、じっ――と。俺の顔を見上げている。行為に赴こうとしない俺に対して、彼女に焦れた様子はなかった。もちろん緊張してる訳でもなかろう。
瞳にボンヤリとした照明の光りが、てらてらと揺れてる。先程までのような悪戯っぽい笑みは成りを潜めると、その表情は澄ましたような真顔だった。
何処か――凛、としていた。
だが、それなのに――
「……!」
すっと微かな擦れるような感触が、俺の内股の辺りをじわりと蠢く。
真は僅かに右膝を立てるようにしながら、自らの太腿を撫でるように当てつけていた。彼女の脚の艶めかしい体温とつるつるとした肌触りが、何度となく微妙な箇所をするりと行き来して、俄かに俺を擽り続けている。
「……」
そんな挑発じみた行為を始めていながら、その表情は全く変えず言葉も発しようとはしない。それでも、それ以上の刺激を与えてこないのは、俺から行動を起こすことを望んでいるかのようだった。
ホラ――したいよう、思い通りに――して、よ?
言われた気がして、俺の内に――止めどないような昂揚が、マグマの如く湧き上りつつあった。説明のできない熱さが、身体に宿っていた。