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ホントの唄(仮題)
第8章 誠実な(?)、情事
だが、そうなれば。
「ま……待て!」
俺は止まらざるを得ない。それは先程までの想いとは違って、単純明快な理由だ。
「今――着けるから」
俺は焦って、すぐにその言葉を続けている。
しかし、真は――
「いいよ。そんなの――」
事も無げにそう告げると、俺の方に向けて腰をぐっと突き出していた。
「バ、バカ! いいわけ、あるかよっ!」
俺はそれと同じだけ腰を引き、何とか寸前で逃れる。
「どうして?」
「どうしてって、お前な……」
俺は瞬間的に頭を抱え、言う。
「万一の時――困るだろ」
「そうかなー? 私は別に、困らないって思うけど」
「な、なんで?」
「安心して。責任とってなんて言わないよ。あ、それとも――責任とって、って言った方がいいわけ?」
「そういう話じゃねーよ!」
「ああ、ひどーい。ちゃんと私の質問に、答えなさいよね!」
その問答は、これからセックスに赴く二人には似つかわしくもなくて。それまで培った男女の雰囲気を、まるで破壊し尽くす勢いのまま。
俺も真も普段の如く、言い争う構えを取った。