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ホントの唄(仮題)
第9章 対峙して、知るもの
真を連れ、旅へと赴き――既に四日目。
何となく車を走らせながら、気の向くままに右往左往。二人の旅路は、何処までも勝手で気ままなものとなりつつあった。食べたい物を見つけては、食べ。眺めたい場所があれば、眺め。夜になれば適当な宿を選び、泊まった。
そうなれば、次第に目的を見失ってしまうのも必然。否、目的なんて立派なものが、果たしてあったのかさえ定かでない。何となく真を守りたいと思い、凡庸な俺にしては大いに思い立った、つもりではあるが――元々、それで何かを成せる、わけもない。
そしてこれは、どうしようもなく現実。言わずもがな、金銭を湯水の如く消費することとなり。目下、労働により対価を得ない俺の頭の少なからぬ部分を、チクチクとして鈍い痛みが苛むのも無理からぬ処だった。
何時までも、そうはしてられない。わかっていながらも、流されるように。坂道ってものが、昇るよりも降る方が楽であるのと同じだ。もっと言ってしまえば、転がり落ちそうになっているのかもしれない。
俺は色々と考えを重ねてはみせても、結局は――真を抱いてしまった。この旅の間に、もう何度か――否、何度も。
溺れてはならない、そんな決意も薄れるほど、やはり真は魅惑的なのだ。
と、真のせいにするのは、当然ながら言い訳であり。時と身体を重ねるにつれ、俺の中で徐々に怠惰が肥大していったのも紛れもない事実。
それは、四日目となる――この朝の場面でも。