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ホントの唄(仮題)
第9章 対峙して、知るもの
俺たちは、何処に来てるんだっけ――?
ふと、そんな疑問を抱きつつ、眠りに奪われていた意識を取り返そうと試みる。
弾力がありすぎるベッドは苦手だ。常に沈み込むような感覚を受ければ、身体が埋まり込んでしまわないかと、不意に焦る。
そのベッドは、とても広々と感じられた。ホテルの部屋を取る際に「ツイン」ではなく「ダブル」と臆面もなく言えるようになったのは、昨夜からだったか……。
その様にどうでもいいことを考えつつも、ゆっくりと目覚めようとしていた俺。まだ眠い。心地よい気怠さに、もう少し身を委ねようかとも思う。と、そんな時。
ツツゥ――とした生暖かい感触が、俺にそうすることを許さなかった。
「オイ……なに、してる?」
俺は頭を擡げて、足元に向かって訊ねる。
「あ――起きちゃったの?」
そう言って、やや惚けた真。ペロリと出した舌は、照れ隠しのつもりではなかろう。何故なら俺を襲っていた感触の原因が、その舌を用いた行為によるもの、であるのだから。
「起きちゃったの、じゃねーよ……」
「そうだね。コッチは、とっくに起きてたから」
そう言って笑うと、真の舌が既に突起を果たしているその先端を、ぺろりと撫でた。