この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
ホントの唄(仮題)
第9章 対峙して、知るもの

    ※    ※


 その日の午後のこと。真を助手席に乗せ、俺は車を最寄りの市街地へと走らせていた。

 目的地がないながらも暗黙の内に人の多い場所を避けてきたのが、それまでの旅路。次第に車の往来の増える都市の風景を窓より眺めながら、真もそれを不思議と思ったのだろう。


「何処へ、向かってるの?」


 そう、訊かれて――


「ああ……今日はちょっと、用事ができたんだ。それで……」


 俺はやや口籠るように、そう答えた。


「用事って?」


「え、うん。それがな……」


 応じながら、思慮している。この気まぐれに尽きる旅先にあって「用事」とは、如何にも無理があるのだ。それでも間を取り考えた後、俺はこんな返事をした。


「前の会社の取引先が、この近くにあるんだが……。個人的にも、世話になった人がいてな。挨拶がてら、食事でもという話になっている」


「もしかして、朝の電話の相手――?」


「……まあ、な」


 その部分だけは、嘘ではなかった。


「流石に、お前を同伴させる訳にはいかない。悪いが映画でも観ながら、一人で時間を潰していてくれないか」


「いいけど、さぁ……」


 そう言った真は、少し訝しげに俺を眺めている。違和感を覚えながらも一応従ってくれたのは、彼女なりに何かを察したものか。

 だが、仮にそうだとしても。俺が今から会おうとする人物を知ったのなら、そんな冷静な態度ではいられないのは間違いがなかった。

/400ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ