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ホントの唄(仮題)
第9章 対峙して、知るもの
真が無事であると知り(まあ、俺の話を何処まで信頼しているかは不明だが)、とりあえず安心したのかもしれない。
「それでは――」
上野さんは発しながら一息つくと、きりりと表情を引き締めて、改めて俺に対峙する姿勢を取った。
その姿は、小なりと言えども芸能事務所の長である、その気概を表したかのように。
「ふらのに、会わせてください。今、すぐに」
「あ、えっと……というか、その前に、ですね……」
豹変したその態度に、俺は思わず怯んだ。
「お話の方は、承知しました。行き倒れ寸前だった、ふらのの身柄を保護された件については重ねて御礼申し上げます。もちろん言葉だけではなく、十分な謝礼の方もご用意させていただきます」
「いやっ……別に、そんなつもりではっ」
「では――どの様な、おつもりでしょうか?」
「え……?」
彼女は切れ長の冷めた眼差しを以って、容赦なく俺を責めようとしている。