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ホントの唄(仮題)
第11章 縋り付き、頼む
「なんか……見てられなくって……」
立ち上がった真は、俺やテレビに背を向けたまま言う。
その心細い背中に向けて、俺は何気に訊ねてみた。
「それは、もしかすると――この場面が、他人事とは思えないから?」
「――!」
真の肩口が、ピクッと揺れる。調度、そんな時だった。
キンッ!
『痛烈な打球は、一塁線を――抜けたぁ! 今、同点のランナーがホームイン! 逆転のランナーも二塁から三塁を――回るぞ! 打球に追いついたライトが、懸命にバックホーム――!』
ザザァ――バシィ!
『ホームは、クロスプレー! 延長か、サヨナラか――?』
――セーフ!
ワアアアアア――!!!
試合は結局、俺の贔屓チームのサヨナラ負け――と、なっていた。