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ホントの唄(仮題)
第11章 縋り付き、頼む
「ともかく、手術は成功。その一年後には普通の生活を送れるまでに、彼女は回復することができている。しかし、それから更に一年後――俺たちは話し合い、双方が同意の上で関係に終止符を打つことを決めた」
「それは、なんで……?」
「さあ、自分でもはっきりとはわからない。だが――手術が成功した時に、俺たちの間に一つのピークが訪れていたのは確かだった。そして、その後の日常の中で当たり前の日々を、その時以上の喜びとして噛み締めることができなかったから――そういうことなの、かもしれない。まあ何れにせよ、若かった、ということだろう」
俺はそう言って、照れ隠しに笑って。
いつの間にか、まじまじと俺を見つめている真に――
「人生なんて、そんなにドラマティックにはいかないってことだよ」
と、そう言い。その、昔話を終わらせていた。