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ホントの唄(仮題)
第13章 別れは劇的ならずとも
「迷わなくていい。したいように、しなよ。どうせ、同じことでしょ。今になって、我慢する意味なんてないから」
「……ッ!」
柔らかく物分りの良すぎる言葉が、火の灯りかけた俺の衝動を後押ししていた。
そっか、最後だしな。真が、そう言うなら。今更、何も変わるまいし……。
グラリと傾き行く身体が、真の唇へと引き寄せられて行く――。
瞬間、真は瞳を閉ざさずに、じっと俺の目を見据えた。
その光の奥に、俺は何らかの想いを――見つけている。
だから――
「バーカ……そんな未練がましい真似が、できるかよ」
「何故?」
そう、問われ――
「こんな風に、お前を抱く俺を――真は嫌いな筈だぞ」
寸前で止まり、俺は辛うじて恰好をつけてみせた。