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ホントの唄(仮題)
第13章 別れは劇的ならずとも
「――!?」
何とか肘を立てて、ふくよかな胸より顔を剥がす。
ベッドで仰向けになっている真を、真上より見下ろしていた。
「……」
真は軽く鼻を啜り、パチクリと瞬きを一つ。潤みかけていた瞳の表層をリセットし、感情を隠した眼差しを、真っ直ぐ上に差し向けてきている。
そうして、恐らく――その目線を、淀みなく淀ませていた。それは、浮かべた戸惑いの色彩で、俺の心に誘いかけて行くように……。
その上で更に、その言葉を用いた。
「ねぇ、これが最後なんでしょ? なら、いいじゃん――――悔いが無いよう、滅茶苦茶に抱いて」
それを受けて――
「……!」
強張った身体が、ワナワナと震える。抑え込んだ衝動が、心臓の鼓動を頻りにドクドクと脈打たせた。
たぶん、俺は怯んでいる。否――激しい興奮を覚えていた。