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第13章 別れは劇的ならずとも

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　バクバク、ムシャ、パクパク、カプ――んぐっ！　――ふう。


「……」


　見事な食事風景も、これで見納めかと思うと感慨も一入といったところか。

　帰る前に飯でも、と立ち寄った焼肉屋。煙の中で焼かれた肉という肉が、何処の部位かも確かめられぬままに、順次そのスレンダーな身体の中に呑み込まれていった。

　真は一心不乱、目の敵の様に、肉を食す。まるであらゆる欲を、食欲の一点に集約し、それを満たす尽くそうとするが如く。

　それを只、見守る俺との間には、会話の割り込む余地すらも許されずに。しかし、それはそれで、この色気も情緒もない最後の晩餐の景色は、一向に悪くはなかった。

　互いに何かを想い口にすれば、そこに寂しさが漂う。たぶん、真は本来、ウエットなのは苦手。だから豪快な食欲を以って、その全てを喰らおうとしていた。


　フフ……真、らしいな。


「……」


　俺は微笑して、只、その姿を見守ってやるのである。