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第14章 エピローグ

　はあ……はあ……。


　マイクが無くとも、その息遣いが聴こえそうなくらい。

　唄い切った真は、その身体を大きく揺らしながら――立つ。

　それに対し、見つめた群衆は――



　………………………!?



　明らかにそれまでのイメージと異なるそれを、どう受け止めていいのか量り兼ねていたのかもしれない。


　それを無反応だと、恐らくはそう感じて。



　あ……はは…………



　真ははにかんだように、一瞬だけ笑い――。

　それから力を失ったように、ガックリと肩を落とすと――。

　立ってるのもきつそうに、頭を垂れ両膝に手をついてしまった。



「……」


　別に、よく知りなどしないから、知った風なことは言えない。

　だが、その姿を見て、俺は思うのだ。


　歌声は即座に心地よく、人の耳を鳴らすのかもしれない。

　曲のリズムは同時に、身体を最中より揺らしてゆくものとなろうか。


　だが、今。真の唄は――？

　想いの詰まった、その唄が――

　人々の心へ届くまでに、どれだけの時間を要する――？

　一秒？　数分？　それとも、いくらたっても伝わらないことだって、あろうとは思う。


　が、しかし――それでも、俺は確信している。

　俺だけに届けられたとしたら、それじゃあ勿体なさ過ぎるだろう――と。

　だから――



「真――大丈夫だよ」



　思わず俺は、そんな声をかけた。