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ホントの唄(仮題)
第2章 緊急モラトリアム
これはマジで、ヤバいことになってきたな……。俺は頭を掻きながら、一刻も早く真の件をどうにかせねばと考えていた。
そんな刹那、不意に真が呟く。
「やだな……ほっといてくれて、いいのに」
その沈んだ声を聞き、俺はふっとため息をついた。
「だがな――基本的には皆、真のとこを心配してるんだと思うぜ。ファンだって、それこそ日本中にいるんだろうし」
その俺の言葉に、真は激しく苛立った。
「そんなこと、オジサンに言われなくても、わかってるよ。何にも知らないクセに、適当なこと言わないで。ウザいしキモいから」
くっ……!
あまりの言われように、ムッとする俺であったが……。
まあ、大変なんだろうな……きっと。
シュンとした真の姿を目にして、俺はその心中を察する。
すると、真はまたポツリと言った。
「ニセモノ、なんだよ……」
「偽物?」
「そう……天野ふらのは、ニセモノ。ニセモノの唄しか唄わないから……ホントの私じゃないんだ」
「……」
そう言った真の真意は、俺にはわからなかった。
だが、その気持ちの一端には――微かに触れていた気がしている。