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ホントの唄(仮題)
第3章 異常な日常の場面で

 先に歩いて行く真を横目で見送ると、俺は太田を不快そうに睨み言う。


「なんか、用かよ? 久しぶりって、そんな訳はねーよな」


「ハハ、釣れないなあ。可愛い後輩なんですから、そんなに邪険にしないでくださいよ」


「もう、先輩だなんて思ってねーだろ?」


「アハハ、そーっすね」


 太田はニヤッと笑い、あっさりと同意。

 とまあ、こんな奴だ。俺にはもう、コイツと話す義理などなかった。


「じゃあな。まあ、適当にやってくれ」


 そう話しを切り上げ、立ち去ろうとする俺だが。

 その意図をまるで無視して、太田は構わずに話を続けた。


「それにしても、新井さん。また随分と、思い切りましたよねぇ」


「あ?」


「あ、いや。お気持ちは十分にわかりますけどね。それにしたって、ホントに辞めちゃうなんて。後々、絶対に後悔しますよ」


「上があんなやり方をしたんだ。それが気にくわないから、辞めた。理由ならハッキリしてる。だから、後悔するつもりもねえよ」


「流石! カッコいいなあ。それでも、ですよ。現実的に、新井さんも四十なんですよね。次の職の当てとかって、大丈夫なんですか? 万一、心変わりがありましたら、僕の方から口添えを――」


 つまらないことを、口にされそうだったので――


「ほっとけ。そんな話なら、もう行くからな」


 全てを言い終わる前に、俺はそれを遮った。

 そして、そのまま行ってしまおうとするのだが。 


「あ、そうそう」


 意味ありげな太田の言葉に、期せずして足が止まっている。


「なんだよ?」


「ああ、やっぱ……これを言うのは、マズイかなぁ」


 ちっ……相変わらず、ヤラシイ男だな。


 何を言いかけたのか、そんなのはどうでもいい。否、それを気にすれば、きっと太田の思うツボだろう。

 俺はもう振り向くことなく、足早にその場を去って行った。

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