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ホントの唄(仮題)
第3章 異常な日常の場面で
『天野ふらの失踪に向かう原因に、義母である個人事務所代表との確執か』
「……」
それが気になると、そのネット記事を開こうとして手にしたマウスを動かす。
が――
「いや……」
俺はそっと首を振り、そのままネットを切断した。
おそらく憶測を以って綴られた、それは単なるネットニュースであろう。先にも言ったが、そんなものを鵜呑みにして、真に対する妙な先入観を抱くのは良くないと感じている。
気にはなる――だが今は、それよりも。
「一体、俺が何をしてやれるのかね……」
俺はゴロンと身を横たえ、そんなことを呟いてみた。
人のことを心配できる身分かよ、とは当然ながらに思う。それでも、ほんの些細でもいい。
真の為に、俺がしてやれること……。
思い至る筈もない、そんなことを考えながら。
俺はそのまま、眠りの最中へと墜ちてゆくのだ――。