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《愛撫の先に…》
第3章 《胸の思い…》
菜々美は結城に抱かれたあの夜に下着に感じた〈濡れる〉という反応を、
今夜のキスだけでそうなる事にがく然としてショーツへ自ら指を当ててみた。

結城がその指を握りしめ股間へと押しあてる。

じわ‥
自らの手で蜜が出る。
それは結城の押した手からの刺激からだと思えるが。

キスで感じた――?
キスだけで感じた?
好きでもない男性からのキスで…

初対面のあの瞬間に金髪と整った顔だちに見とれてしまったのは内緒だけど…

だけど恋愛感情のない結城さんに感じているなんて!
高瀬さんにうしろめたい。
あたしが感じて濡れたいのは高瀬さんだけだもの…

菜々美は両手で結城の肩を押しやりバッグを掴んで車から出て走り出す。

追いかける結城に菜々美は言った。
『大嫌い!
あなたなんて大嫌い!』

立ちつくす結城――。
ほどかれた髪が揺れる彼女の後ろ姿が見えなくなるまで。

大嫌い!
そんなあなたに感じてるあたしも嫌いかも!

謝るはずの言葉はまたしても大嫌いと叫んだ夜。

この後日菜々美に降りかかる出来事の始まりになろうとは…――。
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