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第11章 夜空に咲く花の下で

泊まって行けと父親が勧める中、賢也は、丁寧に断って代行を呼んだ。

帰りがけ、父親が、またゆっくり来なさいと賢也の背中を軽く叩くと賢也は、嬉しさを顔に滲ませた。
兄と賢也は、今度一緒に甲子園行こうと約束し
、お互いの連絡先を交換していた。

車に乗り込もうとすると、母親が、呼び止め、家庭菜園で採れた野菜や頂き物の魚の干物、自家製の漬物を詰め混んだ紙袋を真紀に手渡した。

「ありがとう」

「すんなり認めてもらえて、良かったね」

母親の言葉に真紀は、笑顔を返した。

「うん」

ずっと昼寝していた雄介が、二人が帰る頃起こされ「真紀ちゃん、帰らないで」と鼻を垂らして、泣いている。真紀が、「今度は、泊るからね」と口約束を交わすと、グズグズと鼻水をすすりながら雄介は、兄嫁に抱っこされたまま、小さな手を振った。

「真紀ちゃん、おっちゃん。バイバイ」

「またね」

家族が、賢也との結婚に賛成している。そう思うと真紀は、嬉しくなった。



代行が運転する車の中で、「お前の家族、なんか温かいよな」賢也が、ボソッと言う。

「うちも負けないくらい温かい家庭にしようね」

肩にもたれかかる真紀の頭を賢也は、優しく撫でた。

「そうだな」