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危険な香りに誘われて
第12章 皇帝
食事の途中で皇帝は、立ちあがり帰って行った。
障子が閉まった途端、どっと疲れが出た真紀は、ぐったりした。
賢也は、軽く息を吐くと、真紀に顔を向けた。

「俺らも帰るか」

「け、賢也。あ、足が痺れて動けない」

「ああっ?」

ホント情けない、正座も出来ないダメ女でごめんなさい。真紀は、賢也の腕に手を掛けた。

「マジかよ」

「だって、ずっと正座してたから」

「ほら足伸ばせ」

賢也が足に触れようとすると、真紀は、慌てて、手を払った。

「ダメッ、触ったらダメッ」

「手の掛かる奴だな」

賢也は、半笑いで真紀の頭を優しく撫でた。

「ごめん」

「俺の方こそ、謝らねぇと。お前を巻き込みたくなかったのに、結局巻き込んでしまった」

真紀は、ポロッと涙を零した。

「俺が、お前に惚れたばっかりに」

「賢也」

「お前とお前の家族だけは、どんなことしても守るから」



子供は、生まれる家を選べない。
そこに生まれただけなのに、どうして背負わなきゃいけないものがあるんだろう。
本人が、望んでいないのに、どうして、追いつめて、その道を歩かせようとするんだろう。
どうして、子供に愛情を注がない親がいるんだろう。

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