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危険な香りに誘われて
第16章 止まない雨はない
真紀を連れて駐車場に戻ると広川たちが車から降りてきた。何故か、三人ともニヤニヤしている。賢也は、眉間にシワを寄せた。

「30分か」

「一発やってきただろ」

「キスくらいしましたよね」

真紀が顔を赤らめると、広川が勝ち誇ったような顔をした。

「俺の勝ちだな」

「なんだと、まだ分かんねぇだろがっ。おい、賢坊、真紀ちゃんに何もしてねぇよな」

「キスは、しましたよねっ、ねっ」

賢也は、三人を追い払うように両腕を振り降ろす。

「うるせぇーっ。しょうもねぇこと聞くんじゃねーっ」

駐車場に虎の唸り声が響き渡った。


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