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危険な香りに誘われて
第17章 一場春夢
真紀への愛撫の真っただ中、ヘッドボードの上に放り投げていたスマホが、邪魔するタイミングを見計らったように着信音を鳴り響かせた。

「くそっ、誰だよ」

賢也は、腕を伸ばし乱暴にスマホを握った。

「なんだ」

賢也の顔つきが、見る見る変わり、無表情になっていく。電話の相手が、一方的に話しているのか、賢也は、ほぼ無言。時折、相づちを打つだけ。どんな内容か、全く分からない。真紀は、息を殺した。

「分かった、すぐ行く。いや、いい。自分の車で行った方が早い」

賢也は、さっと身体を起こしベッドから抜け出ると、パンツも履かないままジーパンに足を通した。シャツを着ると手櫛で髪を整えた。ジーパンの後ろポケットに財布を突っ込むとスカイラインの鍵とスマホを手にする。

「賢也?」

「悪い。留守番しててくれ。誰か来ても、絶対開けんなよ」

そう言い残して、出て行った。


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