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危険な香りに誘われて
第21章 番犬注意
賢也の胸の鼓動が聞こえる。ドクン、ドクン、冷静な顔をしているが、その下に激しい感情を隠している。真紀は、目を閉じ鼓動を体で感じた。

「本当のこと知ったら、お前ビビるだろうし、俺のことも心配するだろ。だから黙っていたのに」

「賢也は、いつも私の事を考えてくれているんだね」

「ああ」

真紀の背中に置いた賢也の手が、尻へと移動する。

「余計なこと吹き込みやがって」

不機嫌な声が頭の上から聞こえる。
スカートの中に手を入れ、ストッキングの上から尻を撫でまわす。直に触るより興奮する。賢也は、軽く尻を叩いてみた。

「ひゃんっ」

「お前も、お前だよな。男に呼び出されてホイホイ出て行くなんて、一体何考えてんだ」

「ホイホイなんて」

「しかも、この格好」

考えるだけで腹が立つ。目を離すと何をしでかすかわからない。一度、こっぴどく叱っておかなくては、そう思うのに、欲望は、むくむくと頭をもたげている。

「ホント信用ならねぇ」

「き、緊急事態だったから」

「何が、緊急事態だよ。絶対許さねぇ」

「怖いよ、賢也」

「怖くて当然だ。何で、こんな格好で出て行ったか、納得いくように説明しろ」

再び、乱暴にベッドへ押しやった。

「ひーっ」
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