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危険な香りに誘われて
第21章 番犬注意
シーツに縫いつけられたように、ぐったりしている真紀を抱きよせ、賢也は、白い肌のあちこちに所有の証をつけていった。
首筋にも、鎖骨にも乳房にも。

「見えるところは、いやだ」

「うるせぇ、大人しくしてろ」

嫌がる真紀を押さえつけ、柔らかな肌に吸いつき、歯を立てる。

「外に出られなくなるから、やめて」

「そんなこと、気にする必要ねぇょ」

賢也の言葉の意味が理解出来ない。真紀は、パチパチと何度も瞬きをした。

「暫く、一人で外出するのは禁止だ」

「なんでっ」

「俺の目を盗んで、他の男と会っていた罰だ」

「酷い。横暴だよ」

納得できないと、真紀は、反発の目を向けた。

「親父を殺った犯人も、まだ分からないし。家にいてくれた方が、俺も安心なんだ」

ここ数日、板倉の代わりに、吉田が真紀をマンションまで送り届けている。
しかも、最近物騒だからという理由で、部屋の前まで吉田が着いて来ていた。
親切な人だと思っていたが、犯人を警戒しての行動だったのか。
皇帝が殺されて、賢也は、過敏になっているのかもしれない。
ちょっと、心配し過ぎなんじゃない?なんて、言ったりしたら、怒るだろうな。

「分かった。それで賢也が安心出来るなら、家で大人しくしているよ」

どうせ昼間は、自分しかいない。外出したところで、賢也は、気づかないだろう。

「一歩も出るなよ」

「大丈夫、おうちで大人しくしているから」

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