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危険な香りに誘われて
第23章 奪還
「やっぱり、やめよう」
板倉は、原田の握るハンドルに手を置いた。原田の口から驚きの声が漏れる。
「南条?お前、どうしたんだ?」
「真紀ちゃんを巻きこみたくない」
「それじゃあ、復讐にならないだろ」
「社長を殺したんだ。もう十分だ」
「それで、どうする気だよ。まさか、自首しようなんてアホなこと、言いだすんじゃないだろうな」
胸ぐらを掴み、板倉を睨みつける。
板倉は、諦めたような悲しい表情で、小さく首を振った。
「俺たちの復讐は成功した。そうだろ?真紀ちゃんを道連れにするなんて、俺には出来ない。賢さんを悲しませたくない。あの人が、どれほど真紀ちゃんを大切にしているか、側で見てきたから、分かるんだ。あの人は、真紀ちゃんを自分の命よりも大事に思っている。真紀ちゃんを殺してしまったら、賢さんは・・・・」
怒り狂うだろう。ひょっとしたら、命を絶つかもしれない。板倉は、後部座席にいる真紀に顔を向けた。
きっと、今頃、躍起になって真紀を探しているはずだ。
送り届けたところで、賢也は、自分を許さないだろう。仲睦まじい二人を見ているのは、楽しかった。復讐なんて忘れて、吉田や広川たちと一緒に二人の側にいようかと考えたこともあった。
孝也を殺しただけでなく、真紀を誘拐したのだ。
二人の側にいることは、もう出来ない。
孝也を殺せば、心が晴れると思っていた。
だが、実際は、後悔の念が押し寄せるばかり。
「ごめんな、真紀ちゃん」
板倉は、原田の握るハンドルに手を置いた。原田の口から驚きの声が漏れる。
「南条?お前、どうしたんだ?」
「真紀ちゃんを巻きこみたくない」
「それじゃあ、復讐にならないだろ」
「社長を殺したんだ。もう十分だ」
「それで、どうする気だよ。まさか、自首しようなんてアホなこと、言いだすんじゃないだろうな」
胸ぐらを掴み、板倉を睨みつける。
板倉は、諦めたような悲しい表情で、小さく首を振った。
「俺たちの復讐は成功した。そうだろ?真紀ちゃんを道連れにするなんて、俺には出来ない。賢さんを悲しませたくない。あの人が、どれほど真紀ちゃんを大切にしているか、側で見てきたから、分かるんだ。あの人は、真紀ちゃんを自分の命よりも大事に思っている。真紀ちゃんを殺してしまったら、賢さんは・・・・」
怒り狂うだろう。ひょっとしたら、命を絶つかもしれない。板倉は、後部座席にいる真紀に顔を向けた。
きっと、今頃、躍起になって真紀を探しているはずだ。
送り届けたところで、賢也は、自分を許さないだろう。仲睦まじい二人を見ているのは、楽しかった。復讐なんて忘れて、吉田や広川たちと一緒に二人の側にいようかと考えたこともあった。
孝也を殺しただけでなく、真紀を誘拐したのだ。
二人の側にいることは、もう出来ない。
孝也を殺せば、心が晴れると思っていた。
だが、実際は、後悔の念が押し寄せるばかり。
「ごめんな、真紀ちゃん」