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危険な香りに誘われて
第23章 奪還
数日後、賢也は、実家を訪れた。
父親の嫁が家を出たと聞き、父親から頼まれていた書斎を片付けにきたのだ。
使用人しかいなくなった家をどうするか。賢也は考えあぐねていた。
運転手の白鳥も、家政婦の柴田も実家の離れに住んでいる。
組をやめるには、大金がいる。ここを売れば、いくらかにはなるだろう。しかし白鳥たちを追い出すのも気の毒な気がした。
綺麗に整頓された書斎。足を踏み入れたのは、初めてだった。
書物の多さに驚かされた。父親が、これほど読書好きだとは全く知らなかった。
どこから手をつけるか、賢也は、ため息をついた。
机の引き出しの一つは、鍵が掛かっていたが、別の引き出しから容易く見つけることが出来た。
引き出しを開けると古臭い箱がある。それを取り出し、蓋を開けた。
色の変わった写真と、束ねられた年賀状や手紙。新聞の切り抜きも数枚。
「なんだ、これ」
賢也は、顔をしかめた。
年賀状は、筆跡から見て、どうやら同じ人物から届いたものらしい。消印を見ると、30年以上前のものもある。
差出人を見て、賢也は、眉根を寄せた。
新聞の切り抜き、達筆な手紙も年賀状も全て、目を通した。
全身の毛が逆立つのを感じながら、呟いた。
「マジかよ」
父親の嫁が家を出たと聞き、父親から頼まれていた書斎を片付けにきたのだ。
使用人しかいなくなった家をどうするか。賢也は考えあぐねていた。
運転手の白鳥も、家政婦の柴田も実家の離れに住んでいる。
組をやめるには、大金がいる。ここを売れば、いくらかにはなるだろう。しかし白鳥たちを追い出すのも気の毒な気がした。
綺麗に整頓された書斎。足を踏み入れたのは、初めてだった。
書物の多さに驚かされた。父親が、これほど読書好きだとは全く知らなかった。
どこから手をつけるか、賢也は、ため息をついた。
机の引き出しの一つは、鍵が掛かっていたが、別の引き出しから容易く見つけることが出来た。
引き出しを開けると古臭い箱がある。それを取り出し、蓋を開けた。
色の変わった写真と、束ねられた年賀状や手紙。新聞の切り抜きも数枚。
「なんだ、これ」
賢也は、顔をしかめた。
年賀状は、筆跡から見て、どうやら同じ人物から届いたものらしい。消印を見ると、30年以上前のものもある。
差出人を見て、賢也は、眉根を寄せた。
新聞の切り抜き、達筆な手紙も年賀状も全て、目を通した。
全身の毛が逆立つのを感じながら、呟いた。
「マジかよ」