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危険な香りに誘われて
第24章 新芽
誘拐事件のあと、実況見分の立合いや検察官の事情聴取、公判での証言と、父親の49日が過ぎるまでは、落ち着く間もなかった。
誘拐された被害者として、真紀も事情聴取や公判に出向くことになり、賢也の庇護欲は、更に増した。

賢也の心配をよそに、真紀は意外にも落ち着いていた。さすがに公判の証人尋問では、恐怖が蘇ったのか、身体を震わせ、怯え、足元をふらつかる一面もあり、賢也は、原田への怒りを再燃させた。


公判で明るみになった岡崎孝也殺害事件は、新聞やニュースにも取り上げられた。

殺害場所は、病院の駐車場。
孝也が、後部座席に乗ったのを確認すると、左右のドアから正木と原田が乗り込み、ナイフで腹部を6カ所刺し、殺害。
南条は、運転席からその様子を黙って見ていた。
返り血を浴びた二人は、別の車で逃走。
刺殺された孝也の遺体を乗せたまま、南条は、正木の指定したビルの前で車を置き去りにし、逃走した。

原田は、岡崎孝也の殺人罪と真紀の誘拐、レイプ未遂、殺人未遂も加わって、懲役18年の実刑判決。
正木は、原田と同じ18年の実刑判決だが、暴力団員ということで、恐らく仮釈放はない。
板倉こと南条仁も殺害に関与、死体遺棄、誘拐罪と懲役10年の判決が下った。

正木は、津嶋会から絶縁の制裁を受けている。
刑期を終え、出所しても、迎える組はない。

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