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危険な香りに誘われて
第3章 罠
「向こうが本命だったの」

「マジかよ。お前、ちょっと気の毒な女に見えてきた」

その言葉にムッとした真紀は、賢也の足を踏みつけた。

「痛っ。この暴力女」

「うっさい。さっさと部屋貸してよ」

「全く、お前といると怪我するわ。貸すのやめようかな」

「値下げしてでも貸したいなんて、長い間借り手のない、空き部屋だったんでしょう。借主が見つかって良かったじゃない」

「まぁな」

賢也は、意味深な笑みを浮かべた。

真紀は、間取りの確認とばかりに部屋のチラシを眺めていた。
賢也の思惑など気づきもせずに。




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