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危険な香りに誘われて
第3章 罠
駅まで歩いて5分。
スーパーも歩いて5分。
そのマンションの1室を貸してくれるなんて、しかも管理費込4万円。
なんて、ラッキー。真紀は、何度も貼り紙を見て、本当にいいんだよね、としつこく訪ねた。

「今、どうしてんだ?」

「今は、まだ元彼の部屋だよ。慌てなくていいって言ってくれているんだけど、なんか居づらいし」

「別れた男の部屋にまだいるのかよ」

賢也の声が大きくなった。真紀といると、冷静でいられなくなる。すぐに出ろと言いたいのを賢也は、飲み込んだ。

「住むところ決まってないから、仕方ないでしょう」

首をすくめていう真紀を見て、賢也は、唖然とした。
自分には、警戒するくせに、他の男は、警戒しないのかよ。
いくら別れたといっても、相手は男だぞ。

「何かされたらどうすんだ?」

何かされる、なんて絶対ない。
修平と夏樹は、毎晩二人で楽しんでいる。さすがに賢也に、それを言う事は出来ないが、心配は無用だ。

「心配してくれているの?でも大丈夫、大丈夫。彼は、他に恋人がいるから」

真紀は、ケラケラ笑った。

「浮気されたのか?」

浮気?
ちょっと違うよね。真紀は、首を傾げた。
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