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危険な香りに誘われて
第25章 愛妻家
賢也は、昨夜深夜に帰宅。今朝は、早くに出かけてしまった。
文句の一つでも言ってやろうと思ったのに。その間も無かった。真紀は、拳をつくり、反対の掌でパンチを受けとめる。今夜は、帰ってきたら、必殺猫パンチしてやるんだから。
縁側に座って、ぷんぷんしているとお手伝いの柴田が、真紀を呼ぶ。

「玄関までいらしてくれませんか。真紀様にお届け物だって、男の人が」

「私に?」

玄関先へ行くと、エプロン姿の男性が、手もみしながら立っている。

「岡崎真紀さんですか?」

頷くと男性は、ホッとした顔を見せ。

「いらしてくれて良かった。直接お渡しするように申しつかっていたものですから。すぐ戻ります、このままいてください」

玄関から姿を消した。
そして戻ってきた時、男性の手には、顔が隠れるほど大きな花束が。

真っ赤な薔薇なんて初めて貰った。誕生日でも、クリスマスでもないのに。



花束に添えられたメッセージカード。
嬉しくて、賢也に会いたくなった。
夫の帰りが待ち遠しい。




〜最愛の妻へ

帰ったらキスをくれ〜





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