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危険な香りに誘われて
第25章 愛妻家
翌日、吉田は、山口へ行くため荷物片手に自宅マンションの部屋を後にした。
下には、タクシーを待たせている。
ここへ戻ってくるのは、いつになるんだろう。
古びたホテルで寝泊まりし、コンビニも無い、しけた村で当分過ごすのかと思うとゾッとする。
ため息をつきながら、下へ降りると、エレベーターホールの外に、見覚えのある女が手を振っている。

「どこ行くんですか」

「・・・・山口だよ」

「仕事?一人で?」

「だったら何だ」

「着いて行っちゃダメ?」

「いつ帰れるか分からねぇぞ」

「いいよ、どうせ短大やめて、親からも勘当されて。ついでに昨日バイトもクビになっちゃったし」

吉田は、女を見下ろした。

「なんかね、先生より好きになったみたい」

変な女に気に入られちまった。
吉田は、ため息をつき、空を仰いだ。

「新幹線のトイレの中で犯されてもいいなら着いてこい」

「そんなところで、初体験って、私ぐらいかな」

「お前、処女かよっ」

「はーい」

「うわっ、めんどくせぇ」

「おじさん、痛くしないでね」

「おじさんって言うな、箱詰めして親元送るぞっ」

見た目は、結構好みだし。
退屈な田舎で一人寂しくマスかくよりマシか。

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