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危険な香りに誘われて
第26章 嵐
吉田は、寺を訪れた。
今の住職は、殺害された住職とは、古い付き合いだったと聞いている。
住職なら、何か分かるかもしれない。

「おや、吉田さん」

丁度、檀家を見送るために外へ出てきた住職藤代が、吉田に気づいて、ゆっくりとした動作で頭を下げる。

「ちょっといいか?」

住職は、客間へ吉田を案内した。

「実はよ、俺の知り合いが亡くなってな、その遺品を整理してたら、こんな物が出てきたんだ」

吉田は、賢也から借りた孝也の遺品を机に置いた。
年賀状と写真だ。

「これは、これは、懐かしい写真ですな」

住職は、写真を手にとり、目を細め、顔を綻ばせた。

「この写真、見た事あるのか」

「もちろんですよ。何せ、これを撮ったのは、他でもない、私なのですから」

そんな言葉が返ってくるとは思わなかった。吉田は、期待感を込め。

「だったら、知っているよな。教えてくれ、この二人は、どんな関係なんだ」

「親友ですよ。学生の頃からの付き合いで、博人が、跡を継いだ後も親しくしていましたね。博人が亡くなってからも、岡崎さんは、何度も寺を訪れている」

吉田は、驚きを隠せなかった。身を乗り出し。

「親友だって?住職は、この男に殺されたって村の奴らが言っていたぞ」

藤代は、眉根を寄せた。

「くだらない根も葉もない噂が、まだ消えないとは・・・・」

首を横に振り、ふーっとため息を吐いた。

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