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危険な香りに誘われて
第26章 嵐
ぼやきながら帰っていく最高幹部たちを尻目に、賢也は、組長について庭へ出た。
補佐の話は保留だったはず。賢也に断りもなく、執行部の前で推薦するなどと言い、組長は、いったい何を考えているのか。

「賢也」

「はい」

「お前が、暫く津嶋に留まるなら、俺は、お前を利用する」

賢也は、後ろ手にし、黙って組長の背中を見据える。ヤクザの世界は、早いスピードで早変わりしていく。どこも生き残るために必死。普通の企業と同じで厳しい状況だ。時代についていけない組は、衰退する。津嶋も同じなのだ。



嵐が起きようとしている。
猛威を放つ嵐が・・・。


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