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危険な香りに誘われて
第27章 終止符
真紀は一人トイレに座って頭を悩ませていた。
これをどう判断していいのか分らない。
予定日を過ぎても訪れない生理。待望の妊娠かと、期待に胸を膨らませ、さっそく検査薬に尿を掛けたのだが、どう判断していいか分らない結果となった。

妊娠すると小さな窓に陽性反応の線が現れる。ところが、真紀の手にある検査薬は、線が非常に薄い。
説明書を読むと妊娠の可能性もあるので、日にちをあけて再検査するか病院で確認してくださいと書いてある。

「中途半端な結果」

もやもやした気持ちで立ち上がり、ショーツを上げた。
自分では、妊娠した気がするのに、両手離して喜べない結果が残念で仕方ない。

広間へ戻り、体の変化をチェックしてしまう。
一週間もすればハッキリする。分っているのに。

妊娠すると胸が張る、悪阻がくる、よく耳にするが、生理がこないだけ。しばらくピルを服用していたので、生理がこないことは、無かったのだが。服用する前も、数日前後することはあるが、一週間遅れることは無かった。


胸を揉んでみたが、張っているとは思えない。

「うーん」

「何やってんだ」

ドキッ。いつからいたのか。慌てて手を下げる。

「ここでオナニーするほど大胆だとは知らなかったな」

「ばっ、ちがっ」

「柴田たちが来たらどうすんだよ」

真紀は、真っ赤になって手をバタバタ振り、否定しようとした。


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