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危険な香りに誘われて
第6章 男の嘘
ブラウスのボタンが、飛んだ。
賢也が、引きちぎるようにブラウスを掴み、はぎ取った。

「やっ、やめて。痛いっ」

乱暴に服を脱がせ、あっと言う間にショーツ一枚になった真紀の身体を抱きあげると賢也は、脱衣所を出て、寝室へ連れ込んだ。
ベッドに放り投げると真紀のショーツに手を掛けた。

「いやーっ」

体を翻し逃げようとする真紀の足を掴み、押さえつけ、ショーツを抜きとった。

「終わってんじゃねぇか」

ナプキンの汚れを確認すると、賢也は、ショーツを投げやった。

ベッドの中心で、怯える真紀の前に見せつけるように、賢也は、服を脱ぎ始める。震えながら後退りしている真紀を睨みつけ。

「動くなっ」

雷に打たれたように、ビリビリと電気が走った。

「膝立てて、足、広げろ」

「やだ」

真紀は、首を横に振った。身を隠すように三角座りで自分の体を抱き締めている。
大きな体が、覆いかぶさってきた。真紀の手首を掴み、厳つい顔で、睨みつける。

「賢也、怖いよ」

「誰といた」

「誰ともいない。残業して、遅くなったの。帰る途中で、雨に振られただけ。賢也こそ、真っ直ぐ帰ってきたの?」

「ああ、いつも通りにな。それがなんだ」

「本当に、真っ直ぐ帰ってきたの?どこにも寄り道せず?」

「ああ」

「信じていいんだよね」

賢也の腕に手を掛け、見上げる。

「何言ってんだ、お前は」

二人で消えたと思っていたが、自分の思い違いで、別々に帰ったのかもしれない。
真紀は、冷たくなった体を賢也に押し当て、目を閉じた。

「ちょっとした、ヤキモチ」

真紀の言葉に賢也は、目を開いた。冷え切った体をギュッと抱き締め、頬に唇を押し当てた。

「信じろよ」

「お願い、賢也。シャワーだけでも浴びさせて」

「温めてやるよ」

真紀の背中に腕をまわし、押し倒すと唇を重ねた。
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