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果てのない海に呑まれて
第9章 理解し得ぬ想い
「……悪かった」
少し腫れた頬を押さえ、レオンはぽつりとそう言った
今度はリリアが唖然とする番だった
「え……」
「だが放っておいたらお前は何処かに行ってしまいそうだったから……」
「何……なんのこと?」
レオンはため息をついて落ち着いた瞳でリリアを見た
「無理に迫ったことは謝ろう。だが私の言ったことは間違ってはいない。
素直になれ、リリア。そうすればお前が本当に求めているものも分かるだろう」
ベッドから出て、リリアに背を向ける
「だがお前がそうなるまであまり長い時間は待ってやれないかもしれん。私の身勝手な欲望が、今のようにお前を欲しいと暴れ出すまで……」
小さく言い残し、レオンは部屋を出て行った
主人に反抗心を持つ者には、夜中だろうと見張りがついている
「……全部聞こえていたか」
「一応あいつの見張り兼お前の護衛だからな。気は張っていた」
珍しく情けない顔をするレオンをミゲルは少し笑った
「歳下の女相手に随分振り回されてるな」
「ああ……なんとなく、あの瞳をされると苛々してな」
「まぁ、お前が何を考えてあいつを扱っているかは何となく分かる」