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果てのない海に呑まれて
第9章 理解し得ぬ想い
縁に寄りかかり中庭を見下ろしながらレオンは眉を吊り上げた
「さすがは私の側付きだな。私が分からないことまで分かるのか」
「……なんだ、自分の行動理由が分かってなかったのか」
「……」
二人の間に沈黙が流れる
"分かっていてわざと蓋をしているのか"
長年付き合っているミゲルは、黙って夜風に吹かれる主人の顔を見るだけでなんとなくその心中を察した
「レオン」
「……なんだ」
「頬、えらく腫れてるぞ。そんなんでは下の者に示しがつかない。さっさと冷やせ。そして休め」
ミゲルはリリアの部屋の扉に向き直る
自分も見張りの仕事に戻る、という意味か
「……ああ」
それだけ返すとレオンは目を伏せたまま自分の部屋へと戻って行った−−−