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果てのない海に呑まれて
第10章 兄と弟と母と。
「すみませんがジェーニオ様、レオン様は我々に話があるようですので、外して頂けますか」
「誰にものを言って……」
一瞬そう言いかけたが、ジェーニオはめんどくさそうにため息をついた
「失礼しました、兄上。ではまた夕食の時に」
ジェーニオが出て行くと、レオンはすぐにリリアに向き直った
「大丈夫か?」
「え、ええ。別に何をされたわけでもないし……」
それよりも、何故二人ともあんなに怒りを露にしたのだろう
リリアのことを一通り眺めると、レオンはやっと安心したように息をついた
「ミゲル、お前は」
「いつものことだ、問題ない」
ミゲルは既にいつもの調子に戻っていた
「そうか……いや、ジェーンがああして屋敷内を動き回っていると聞いたからな。二人には外に行ってもらった方が良いだろうと思ったんだが、遅かったな」
「外? 外に行っても良いの?」
リリアの顔がパッと輝く
その変わりようにレオンは思わず声を立てて笑った
「まぁ、街の様子を見るのも立派な仕事のうちだからな。ミゲル、頼むぞ」
「ああ」