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果てのない海に呑まれて
第11章 救い
「何もしないから」
そう言われて少しずつ近付き、その手を取る
レオンは彼女を引き寄せると窓からの景色が見えるよう横向きにして膝に乗せた
「あの……」
「これが好きか?」
此方が何かを訊ねる前に向こうから問われてしまった
リリアはもう一度外に目を向け、深く頷く
「海はとても綺麗で……好きよ」
彼女の瞳は静かな喜びに満ちていて、レオンはそれを見つめるとふっと目を伏せた
「そうか…そうだよな……」
「……?」
リリアは彼の呟きを不思議に思って首を傾げる
次の瞬間、彼女の目は驚きで大きく見開かれた
「私はどうかしているな……まだ会って間もないお前にこんな……」
リリアの肩に額を付け髪に顔を埋めながらレオンは言った
どうかしている−−−
その通りだった
そもそも始まりからしておかしかったのだ
出会ってすぐに辱めを受けた
幾度も。
そして故郷から離れた地へ勝手に連れてこられ、今尚こうして振り回されている
だが−−−