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果てのない海に呑まれて
第12章 喧嘩するほど–––



部屋の中では、リリアが椅子に腰掛け膝に本を乗せて此方を見ていた



「外で声が聞こえたわ。何の話をしていたの?」



入ってきたレオンにそう問い掛ける



「別に大した話ではない。それよりリリア、これに着替えろ」



レオンは一つ奥の部屋へ行くと、どこにあったのかリリアに服を渡した

普段着ているものより少し裾が高く動きやすそうな服だ



「え? 何処か行くの?」

「鹿狩りだ」

「……狩りですって!?」



驚嘆するリリアの答えを待たずにレオンは何やらベッドのシーツや手近にある紐のようなものを結び合わせている



「貴族の娘なんだ。鹿狩りくらいしたことあるだろう? それともシエラでは鷹狩りか?」

「しないわよそんなの!? そんなことしたら怪我したり日に焼けたりしちゃうじゃない」

「……そういえば馬に乗れないと言っていたな。遠乗りもしなかったのか」

「だからそれもお父様が危ないって……」



レオンは大きな家具の足に先端を結び付けながら呆れて目を回した



「それはそれは、かなり深窓のご令嬢だったんだな」



全ての準備を整えると、リリアに向かって手を差し出す


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