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果てのない海に呑まれて
第12章 喧嘩するほど–––
そう言って近付いてくるミゲルの瞳はいつも以上に冷たい
「また勝手なことをしてくれたな」
「何も危険なことはしていない。今日の分の仕事は明日やるし、大したことは……」
「大したことはないとか言ったらお前を馬から引き摺り降ろす」
彼の苛立った声に触発されてレオンもむっとした顔をする
「護衛も付けずに動き回って、もし誰かに襲われたらどうするつもりだった」
「周りには常に警戒していたし、少人数でしか行動出来ない刺客くらい自分で捌ける」
「リリアを連れてか? 俺がこの場に来たとき、お前はソイツに夢中だったように見えたがな」
二人の間に険悪な雰囲気が漂う
リリアは彼らに挟まれて小さくなっていた
「お前は少しでも周りの人間のことを考えたか? もしお前に何かあれば俺やコイツらだってただでは済まない。相応の処分を受けることになるんだぞ」
「……それがどうした」
「何……?」