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果てのない海に呑まれて
第12章 喧嘩するほど–––
その夜ーーー
レオンのせいで寝室が滅茶苦茶になったため、リリアは別の部屋へと向かっていた
前を歩くのはミゲルだ
「今日は災難だったな」
「貴方こそ」
「俺はこんなことには慣れている。船の上ではあの何倍も危険なことをしているしな」
リリアはこのままあの時感じた疑問を訊ねようと思った
「最後にレオンが言った言葉……悔しくないの?」
「ん? ああ、自分の為に犠牲になるのも本望だろうというやつか?
そうだな……悔しくないといえば、嘘になる」
「やっぱり、そうよね……」
あんなことを言う人間に、心から付いてゆくことなど出来るはずもない
"離れることはないなんて、傲慢過ぎるのよ……"
「否定出来ないからな」
えっ、とリリアは顔を上げる
聞き間違いだろうか
「アイツが何をしようが俺たちは離れられない。アイツはそれを分かった上で無茶をしてしかもああいう言葉を掛けてくるから……悔しいというか、ムカつく」
リリアには分からなかった
黙ったまま眉をひそめてミゲルを見ている
「おかしいって顔をしているな。まぁ俺にも上手く説明出来ん。なんというか……人にそうさせる何かを、アイツは持っているんだろう。
それでも尚無理に理由を付けるとすればそうだな……俺たちが"アイツのもの"として扱われているからかな」