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果てのない海に呑まれて
第13章 懐疑
レオンは机に肘を付いてリリアを見つめていた
リリアは暖炉の傍に座り、本を膝に乗せたまま眠ってしまっている
鹿狩りの一件の後、ミゲルは彼のサボりの解決案として彼女の方に書斎に来てもらうという旨を提案した
ただし、お遊びは禁止という条件で。
「あいつの我慢が効かなくなったら迷わず大声を出せ。俺か、そうでなくとも部屋の外には絶対に誰かいる」
ミゲルはリリアにそう言っていたのだが、レオンはそれを知らなかった
当然約束を守るつもりのなかったレオンが彼女に迫った時、リリアは深く息を吸い−−−
「ミゲル! 来て! レオンが!」
迷わずそう叫んだ
「な……」
それに反応してすぐにミゲルが飛び込んでくる
「お前はいつもジェーニオ様に色々言っているが、お前の方こそファルツ家の一員だという自覚はあるのか!? これはお前の、“レオン・ファルツ”としての仕事なんだぞ。
今度同じことをやったらリリアには絶対に会わせないからな」
その後もレオンは彼に長々と説教を食らうことになるのだが、その顔には終始不機嫌な色が浮かんでいた
「リリア、お前あの時何故こいつの名を呼んだ」
一段落したところでレオンが低い声で口を開く
「え、それはミゲルがそうしろって言ったから」
「……ミゲル、何のつもりだ」
「だから言っただろう。お前に仕事をさせる為だ」