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果てのない海に呑まれて
第13章 懐疑



「……」



あれから随分たったが、今思い出しても腹が立つ

だがそれが何故なのかレオンには分からなかった





「ハァ……退屈だな……」



レオンはリリアから目を離し、冷たい雨が打ち付ける窓の方へと目をやった

これだけ寒いとまた雪に変わるかもしれない



「退屈だ……」



レオンはまた同じことを呟く

この一ヶ月ずっと書斎に籠もりっきりで、昨日辺りやっと例年のこの時期の仕事量にまで減らしたのだ

今日の分の仕事は終わったし、何か気晴らしがしたい

とはいえ気持ちよさそうに眠るリリアを起こすのは憚れた



「おい、誰かいるか」



レオンは扉の外に声を掛ける

それに応えて側近の一人が顔を覗かせた



「どうかなさいましたか」

「今日の仕事はもう終わった。何か退屈しのぎになるものはないか?……ミゲルは?」

「彼なら下で他の奴らと休んでいると思いますが」

「……」



レオンが渋々ながらも仕事を進めるようになって暫くしてから、ミゲルの監視は緩まっていた

そう、仕事をする主人を放って息抜きをするほどに。



「決めた」

「は?」

「ミゲルの所へ行く。お前はリリアを見ていてくれ」


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