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果てのない海に呑まれて
第13章 懐疑
レオンは慌てて二人の間に割って入る
「違う。これはただの事故だ。私がリリアに短剣の扱い方を教えようとしたんだ」
「……はぁ?」
剣を鞘から半分抜いた状態でミゲルはさらに顔をしかめる
「だからその……」
「こっの……阿呆!」
ミゲルが今までにないほど大声で怒鳴った
リリアはますます恐怖を覚えて二、三歩後退する
「本当にお前は危機意識がなさすぎる! 目の前の相手にやたらと武器を持たせるな!」
「ちょっと待て、そこまで言われる筋合いはないぞ」
ミゲルの言葉が癇に触ったのか、レオンが言い返しにかかる
「ならお前も今すぐその短剣を捨てるべきだろう」
「……」
そう言われてミゲルはしばらく動きを止め−−−
柄を握っていた手を離した
「…分かった。だが俺は……」
「ああ、お前はそのままでいてくれれば良い」
笑ってみせるレオンにミゲルはため息をついて頭を掻く
その一瞬、彼の目がリリアを鋭く射抜いた
「……っ」
だがそれも僅かの間
ミゲルはすぐに視線を戻す
「では俺は血止め薬と布を持って来る」
「ん……いや待て、急ぎの報告とは何だ」